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2022/06/09

「新編武蔵風土記稿」・「定本柳田国男集」などの全集や統計学関連書籍の買取 「賀川豊彦 互助友愛の教育と実業」 (松野尾裕著 2020年第1刷 龍渓書舎)

今回は「新編武蔵風土記稿」・「定本柳田国男集」などの全集や統計学関連など幅広く買取をいたしました。今回、全集はすべて揃っていましたので高額買取となりました。「柳田国男集」には根強い人気があります。世界・日本文学全集シリーズは買取不可となっておりますが、場合によってはお値段が付くものもございますので、処分する前にぜひご相談ください。(※よろしければ当店で「買取できるもの・買取できないもの」をご参照ください。)以下特に良い査定額をお付けできたものを紹介いたします。

「基本統計学 第4版」

「経済社会の歴史―生活からの経済史入門」

「近代日本の政治構想とオランダ」

「12巻セット 新編武蔵風土記稿  全12巻 大日本地誌大系 雄山閣」

「勝間田清一伝   勝間田清一伝観光委員会   平成30年」

「定本柳田国男集 全36冊セット」

 などなど。

 今回ご紹介する本はこちら

 「賀川豊彦 互助友愛の教育と実業」(松野尾裕著 2020年第1刷 龍渓書舎)

 です。

 2020年初版です。すでに2年前の出版にはなりますが、新刊書店ではなく古書店である当店においては、かなり新しい本になります。

 この書籍は愛媛大学教授である松野尾裕氏によって書かれたものです。本書の著者紹介に、松野尾氏の専門は経済思想、賀川豊彦研究とあります。つまり賀川豊彦を研究しまくって論考された集大成といえる本です。

まず本の紹介の前に賀川豊彦なる人物について触れてみたいと思います。

 賀川豊彦(1888-1960)は兵庫県神戸市で生まれます。

1904年に洗礼を受け生涯をキリスト教徒として貧しい人達のために生きた人物です。

神戸の当時貧しい人たちの住んでいた地域スラムに住居を定め、貧しい人たちの生活を支援します。キリスト信仰にもとづき、大正、昭和前期にかけて、労働運動や、農民運動で先駆的に活動をし、いくつもの事業を創設しています。特に消費組合、医療組合、信用組合などの協同組合事業の分野で高い評価をされています。現代でもほとんどの人が何かしらお世話になっているのではないでしょうか?戦前には、「現代の「三大聖人」としてガンジ―、シュバイツァーと並ぶ」と言われたほどの素晴らしい方です。日本以上に世界での知名度の高い方だそうです。代表作として賀川の前半生の自伝的小説で当時(1920年出版)空前の大ヒットを記録した「死線を超えて」があります。本書を読んでいると「死線を超えて」を読みたくなりました。

 ところで、「互助友愛」という言葉を聞いたことがありますか?この言葉が賀川豊彦を理解する鍵となります。互助友愛、、、。聞いた事があるような無いような。お互い助けあって隣人を愛そうみたいな感じかな~?以下、調べてみました。

「互助」・・・家族や近所で支えあう。自発的なものであり、地域住民の自発的支援やボランティアという形で支援の提供がなされるものを指す。

「友愛」・・・日本語の意味としては兄弟、友人、友情、友諠に言及する。

インターネットや辞書ではこのようにあります。

 助け合うという意味の言葉は多くありますが、互助は利害関係の発生しない、賀川豊彦の精神を表した言葉といえます。互助友愛キリストの精神ですね。「互助友愛」とネット検索すると賀川豊彦の名がずらりとでてきます。

 さて、本書の内容に入ります。

 本書の構成は

まえがき 人間への励ましとしての経済学を求めて

第I部 生活協同の構想 

 第1章 賀川豊彦の経済観と協同組合

  第2節 人間であるための経済哲学

  第3節 「生命の成長」としての経済

  第4節 経済に向き合うキリスト教

  第5節 協同組合の構想へ

 第2章 信仰と社会改革(1)「死線を超えて」3部作を読む

  第3節 貧しくされた者と共に 「死線を超えて」3部作について

 第3章信仰と社会改革(2)生活協同の扉を開く

  第3節 連帯の社会へ

II部  互助友愛の教育と実業 農村から

 第4章御殿場農民福音学校高根学園と食肉加工品製造の実践

  第2節 賀川豊彦の「立体農業」構想

  第3節 御殿場農民福音学校高根学園

  第5節 御殿場養豚加工組合から群馬畜肉加工組合の創設へ

 第5章グルントヴィと北海道酪聯の開拓者たち

  第2節 協同思想の形成

  第3節 協同組合による酪農農業事業への確立へ

 第6章「乳と蜜の流るゝ郷」 黒澤酉蔵と賀川豊彦

  第3節 新井奥邃とスウェーデンボルグ

  第4節 新しい人づくり

III章  跡を継ぐ者たち フィールド調査より

 第7章 岩手県摺沢の三愛塾運動

  第2節 菅原忠夫と三愛塾の設立

  第5節 利府農民福音学校・聖農学園と日野林吾・三浦しめ

 第8章 三浦所太郎と東北農業協会・東北ミッション

  第2節 三浦太郎の7決意

  第3節 東北農業協会

  第4節 東北ミッション

 第9章 秋田県仙北市田沢湖神代代柏木のクリスチャン集落

  第2節 大曲教会と安藤仁一郎

  第4節 クリスチャン集落として 次世代へつなぐ」

総括に代えて

 第10章 賀川豊彦と宮沢賢治新しい人づくり・新しい郷づくり

  第2節 羅須地人教会の宮沢賢治

  第3節 農民福音学校の賀川豊彦

となっています。

 前半部分は賀川豊彦の考え方、どのように生きてきたかがよくわかる内容となっています。聖書の言葉や経済分野の話が出てくるので、解釈が難しい部分もあると思います。しかし、賀川には特有のキリスト教解釈や独自の経済哲学があり、それが多くの研究者を彼が引き付ける要因となっているのではと推測させられます。

 中盤以降には酪農の等教育・事業展開について賀川豊彦と共に学びともに実践した菅原忠夫、三浦太郎などの活動について書かれています。10章では互いに農民のために尽くした賀川豊彦と宮沢賢治について論考されています。

 あとがきには「人間の連帯のうえに成り立つ社会を構想しようとする人たちにとって、賀川豊彦はひとつの希望である。生活協同運動は、もう一度、その根本理念を確認して歩みを進めていくことが必要である。その歩みは世界平和にまで通じると賀川は確信していた。」とあります。賀川豊彦の魅力を表した部分だったので載せておきました。

 全編を通じて、彼の生き方そのものを表現する「互助友愛」を体現した宗教者にして、現代にも残る生活協同運動の仕組みを整えた事業家でもあった人間・賀川豊彦への著者松野尾氏の溢れるリスペクトと愛を感じました。多くの人に聖人として愛された賀川ですが、誰よりも著者の松野尾氏が賀川を畏敬しているのでしょうね。そうでなければ、膨大な文献にあたりながら、ある人物を専門分野対象にしてまで理解しようなんて思えませんから…。

 最後に。互助友愛、、、。どの時代にも必要とされる理想的な考え方です。しかし難しい永遠のテーマだと思います。賀川豊彦、宮沢賢治のような他者のために情熱的に人生をささげられる人物は貴重です。色々と考えさせられた1冊でした。機会がありましたら、ぜひ賀川豊彦に触れてみてください。

 

今回も良本を多数お譲りいただきありがとうございました!

スタッフT

 

 

 

 

 

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