基礎医学

基礎医学とは、臨床医学の基礎になる学問の総称のことを指します。基礎医学の内容は多岐に分かれており、一例として解剖学、生理学、生化学、薬理学、病理学、細菌学などが挙げられます。

・解剖学：生物の内部・外部の構造について研究する学問です。その対象は人体、動物、植物などにわたりますが、基礎医学としての解剖学は主に人体について取り扱います。人体について知見を深めるために、ラットなどを使用して動物実験を行うこともあります。

・生理学：生物は一定の形態を維持していますが、平たく言うとその中身について学ぶ学問です。生物体の様々な作用や機能について学びます。歴史的にも古くからありますが、物理・科学的アプローチが取り入れられた頃から急速に発達し、現代の形となりました。

・生化学：生物を構成する物質の構造や化学反応について研究する学問です。その性質から有機化学や生物物理学との関係も深いです。細胞内で起きているたんぱく質合成、細胞間のホルモン反応、食物のエネルギー変換などを扱います。

・薬理学：化学物質（治療薬）が生体、特に人間に与える影響について研究する学問です。化学物質の作用やその作用機序から、治療や適切な処方について、化学物質の毒性などを学びます。

・病理学：あらゆる病気の原因について、またその病気の本態は何か、病気の感染経路、発病機序はどういったものか、その結果はどうなるのか、といったことを研究する学問です。研究のために病死者の遺体を解剖し、生前の病変を解剖した遺体を観察することによって探求する病理解剖学が、一般的に病理学を指していることが多いです。また、動物実験によって病気の側面を探求するのが実験病理学です。

・細菌学：細菌学は、その名の通り細菌を研究対象とする化学です。ウイルスは厳密に言うと最近ではありませんが、その生態から細菌学と密接な関係を持っています。細菌学は生化学、遺伝学などの基礎理論となる分野です。最近は代謝の速度が大きく、それにともない増殖速度も非常に速いため世代交代が速く起こります。ゆえに、一般的な生物の生理機能解明にも役立つ学問です。

現在、基礎医学について研究する人間が少なくなっていることが深刻化しており、各大学では常に人材を募集している状況となっています。

基礎医学の人気書籍

• 『プロが教える 筋肉のしくみ・はたらきパーフェクト事典』単行本 – 2012/10/19 荒川 裕志  (著),‎ 石井 直方 (監修)
• 『こわいもの知らずの病理学講義』単行本 – 2017/9/19 仲野徹  (著)
• 『脳の意識 機械の意識 – 脳神経科学の挑戦 (中公新書) 』新書 – 2017/11/18 渡辺 正峰  (著)

などが挙げられます。