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スタッフブログ 買取日記

2019/04/12

哲学関連の書籍を多数買取いたしました。

今回は哲学関連の書籍を多数買取いたしました。ひとくちに哲学といっても古くはソクラテスから新しくはポストモダンまで幅広いですが、今回は近現代哲学の本が中心でした。
 そんなラインナップの中からここでご紹介したい一冊も、そんな比較的新しい哲学書、「記号学の冒険」です。著者はフランスの哲学者ロラン・バルト(1915-1980)。構造主義を代表する思想家、ソシュールなどの影響を受けています。
 ソシュールが言語学者であることから、バルトの「記号学」も言語学と近いのかというイメージを持ってしまいましたが、改めて記号学はより大きな概念であることが分かりました。記号学とは、(私の理解によれば、ですが)ある事象を別の手段によって伝達・表現する方法を研究するものなのですね。言語はもちろんですが、それには映像であったり、音楽であったりも含まれることになります。
 今回の「記号学の冒険」では、表題となっている「記号学の冒険」をはじめ、12編の論文がまとめられています。「記号学の冒険」では、冒頭を飾るにふさわしく、皮肉の効いた言い回しも駆使しつつ、バルトの記号論とはなんぞや?を自己分析・紹介されています。と、ここまでは比較的素人にもとっつきやすい平易な文章で語られています。その先は「うむむ…?」と腕組みしてしまう部分が多い(苦笑)のですが、バルトの代表作(「明るい部屋」や「物語の構造分析序説」、「S/Z」など)と並行して理解したらわかりやすいのかも知れません。訳者のあとがきにはバルトのコード分析については、「S/Z」よりも、本書内の「物語の構造分析」に当たる方が理解しやすいのでは、との記述もあります。
 バルトの「明示されたもの=デノテーション に 明示されていないもの=コノテーションを合わせたものにより受信者側に影響を与えることがある」という記号学の考えは、その後広くメディア論などに展開を見せます。それも、記号が研究対象とする事象を表現する代替手段が多様である故なのですが、「メディア論」などと言葉を変えると、ぐっと身近なものに感じませんか?難しい抽象的概念を理解した先に、現在でも「なるほどね!」となる示唆が溢れている著作のように感じます。
 今回も良書をたくさんお譲りいただき、ありがとうございました!

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