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スタッフブログ 買取日記

2020/04/07

文学、言語学、社会学等の書籍買取させて頂きました

今回は文学や言語学、社会学等の書籍を大量に買取いたしました。以下に特に良い査定額をお付けできた本をご紹介します。

「始まりの知: ファノンの臨床 (サピエンティア)」
「バベルの後に 下: 言葉と翻訳の諸相 (400400) (叢書・ウニベルシタス)」
「バベルの後に〈上〉言葉と翻訳の諸相 (叢書・ウニベルシタス)」
「共通語の世界史:ヨーロッパ諸言語をめぐる地政学」
「ポスト・オリエンタリズム――テロの時代における知と権力」
「歴史は現代文学である―社会科学のためのマニフェスト―」
「日本の外国語教育政策史」「文学という出来事」「ホモ・サケル 主権権力と剥き出しの生」
「現代アフリカの紛争と国家」「言語帝国主義―英語支配と英語教育」
「世界文学大図鑑」「ニューエクスプレス アムハラ語《CD付》」
「ジェノサイド再考―歴史のなかのルワンダ―」
「ジュール・ヴェルヌ〈驚異の旅〉コレクション II 地球から月へ 月を回って 上も下もなく」
「インドネシア・バリ社会における二言語使用 ‐バリ語とインドネシア語のコード混在-」
「21世紀の資本」「言語と沈黙―言語・文学・非人間的なるものについて」
「ナショナル・アイデンティティを問い直す」「アフリカ農民の経済―組織原理の地域比較」
「人文主義と国民形成―19世紀ドイツの古典教養」「半分のぼった黄色い太陽」
「ヨーロッパ文明史――ローマ帝国の崩壊よりフランス革命にいたる」
「啓蒙思想2.0―政治・経済・生活を正気に戻すために」
「ベルベル語とティフィナグ文字の基礎: タリーフィート語(Tarifit)入門」
「スワヒリ語常用6000語」「アフリカーンス語基礎1500語」
「ハウサ語会話練習帳」「ハウサ語小辞典」「ハウサ民話選」「青い狐」「水の神」

などなど。言語学といっても具体的な1つの言語学習のための語学学習系書籍から、いわゆる言語学そのものについてのもの、また地政学的に見た言語学など、様々な切り口のものがありました。ぱっと見た印象ではアフリカの言語に関連を持つ内容のものが多かったですね。
そんな中から、今日の一冊をご紹介したいと思います。それがこちら
「ベルベル語とティフィナグ文字の基礎: タリーフィート語(Tarifit)入門」
です。

写真(表紙ではなく、外箱です)をご覧いただくと、その装幀のデザインの可愛らしさに目を奪われませんか?いくつか文様のようなものが散りばめられていますが、こちらが本書で紹介されているベルベル語で使用されているティフィナグ文字(詳細は本書にありますが、古い文字も、20世紀に整理された新ティフィナグ文字も含みます)です。日本の地図記号のようですね。ですが、英語などの言語で使われるアルファベットと同じように表音文字で、その起源は紀元前3世紀ごろまでさかのぼれるようです。
そもそも、ベルベル語自体、どこで話されている言語なのか分からない方も多いと思いますが、北アフリカ(モロッコやアルジェリア、リビア、チュニジア、マリ、ニジェールなど)でベルベル人と呼ばれる遺伝的にはコーカソイドに分類される民族が話している言語です。そういえば、高校の世界史でギリシア人やローマ人が「騒々しい言葉をしゃべる人」「野蛮人」を意味する「バルバロイ」という言葉で他民族を呼んだという話が出てきましたが、この「バルバロイ」は「ベルベル」と語源を同じくしています。というわけで、ベルベルの人々は自分たちのことを「アマズィグ(自由な人)」、その言語を「タマズィグト」と呼ぶそうです。ロマやイヌイットの話もそうですが、「アマズィグ」も再興の波の高まりと共に、本来の呼び名が広く市民権を得られると良いですね。その辺りの歴史的経緯については、本書の第一部をご参照ください。
こちらの本は全体が大きく二部構成になっているのですが、第二部は具体的な「タマズィグト」の中でもモロッコの北東、山岳部で話される方言「タリーフィート」の表記、文法等の説明部になっています。IPA(International Phonetic Alphabet、国際音声記号)で発音なども一覧化されており、それに沿って解説されているのですが、正直日本語にはない音が多すぎて頭に入ってきません(汗)。せめて音声CDがあればいいのになぁと思っていたら、外箱に別売りCDの存在を知らせる別紙の添付が…!著者あとがきにも、この音声CDについて興味深い言及がありました。うーん、これは思わず手を出してしまいそうです。
なかなか実用する機会はないかも知れませんが、スペインやイスラーム、さらにはフランス植民時代を経て、独自の文字と言語に立ち返ったタマズィグトの面白さと激動の時代を乗り越えてきた強さに思いを馳せながら、モロッコを空想旅行するのはいかがでしょうか。

今回も良書をたくさんお譲りいただき、ありがとうございました!

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