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2020/07/10

哲学・思想関連や、美術関連図書を多数買取いたしました

今回は哲学のなどの思想系の書籍や芸術などに関する書籍を中心に買取させていただきました。
その中でも特に良い査定額をおつけできた本を以下に紹介させていただきます。

「De Kooning: Paintings, 1960-1980」
「ゲンロン0 観光客の哲学」
「空間の行間」
「アレクサンドリア四重奏 1 ジュスティーヌ」
「現代アーティスト事典 クーンズ、ハースト、村上隆まで──1980年代以降のアート入門 (BT BOOKS)」
「現代アート事典 モダンからコンテンポラリーまで……世界と日本の現代美術用語集」
「『野生の思考』 2016年12月 (100分 de 名著)」
「経験論と主体性―ヒュームにおける人間的自然についての試論」
「武器になる哲学 人生を生き抜くための哲学・思想のキーコンセプト50」
「建築における「日本的なもの」」
「物語の哲学―柳田国男と歴史の発見」
「嘔吐 新訳」
「フランシス・ポンジュ詩集 (双書・20世紀の詩人)」
「旺文社 高英ゼミ 基本動詞の活用 江川泰一郎 1972年」

などなど。

この中でも特に気になった一冊はこちら。

「嘔吐 新訳」 2010年発行、 訳 鈴木道彦

です。

原作の著者は哲学者でもあるジャン・ポール・サルトル、原題は「Le Nausee」、1938年に出版されたものです。その後、各国、各語に訳されて読みつがれている名著ですが、10年前にも新訳が出ていたのですね。

カバー装丁にはアルブレヒト・デューラーの銅版画「メランコリア」が使用されておりますが、こちらはテレンバッハの精神病理学書「メランコリー」(←7月10日現在、当店で絶賛発売中です(笑))のカバーにも同じ絵が使われています。名著に名作の組合せ。最高です。

と、脇道にそれました。

こちらの作品、哲学書っぽくあるのですが、あくまで小説という形をとっております。アントワーヌ・ロカンタンという人物を主人公とし、読者は彼の遺した日記を読みながら、彼の「発見」に臨席することになります。

ロカンタンは基本的に町から出ず、図書館でとある人物に関する書物を読み、その人物の伝記を書くことを目的に生活しています。家族の残してくれた遺産のおかげで、仕事もしていません。人との交流もほとんどありません。行きつけのレストランの女主人と関係を持ったり、図書館で知り合った「独学者」と呼ぶ男とはよく言葉を交わしたりするのですが、その態度にもどこか気乗りしてない、ニヒルなものがあります。

そのロカンタンの置かれた状況やニヒリスティックな態度、口の悪さなども相まって、アンチヒューマニズム的な香りが作品全体に充満しており、気軽に読むには少し重たい作品です。そして、何よりロカンタンの人間性が個人的に好きになれないことが苦しさの原因だったりします(←え)。そして、読了していません(←えええ)。

私が以前読んだのは白井浩司氏の訳によるものだったのですが、今回の新訳版を数ページ読んだ感じだと、少し描写から湿気が抜けている感じがして、とっつきやすくなっている印象がありました。これなら読みきれそうな気がします、たぶん。

小説であるため、物語の展開ももちろん気になるところではあるのですが、「嘔吐」を読むにあたって、最も注目すべきところは既述したロカンタンの「発見」したものが何か、という部分です。読書好きならご存知、○HKの「100分で名著」の「嘔吐」回ではフランス文学者の海老坂武さんがロカンタンの見つけた「偶然性」(本書「あとがき」参照)を「実存の発見」と表現されていたように記憶していますが、少し表現の違いはあれども、それの意味する所はほぼ同じだと思います。
偶然性の存在、すなわち、「絶対的な何か」は存在しない、人間存在とは極めて不安定であやふやなものであること。しかし、それに気づかず平和に暮らしている周りの人々。それに気づいてしまった己と、「存在」とは対極の「完璧な瞬間」を思い描くかつての恋人アニー。ロカンタンの発見は決して幸せなものではなかったように思えます。それを知ってしまっているからこそ、ページを繰る手が止まりがちになってしまうのかも、知れません(ということにしておきます。)

しかしながら、サルトルのその後の哲学的展開(人は自由の刑に処せられているけれども、だからこそ、自分の存在意義を何者にも規定されることはない)を理解する上でも、その後に続くサルトルを熱狂的に迎えた社会的雰囲気について理解するにも、本作の読み解きは重要な意味を持つように思います。

…栞がはさまっているところから、また頑張ってみようと思います。

 

今回も良書をたくさんお譲りいただき、ありがとうございました!

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