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スタッフブログ 買取日記

2025/05/16

教育・英語関連の買取【132冊 11,096円】

 今回は教育・英語関連の書籍を買い取りさせて頂きました。

本記事で取り上げるのはコチラ。

 

【買取価格:420円】『学習評価入門』三好真史 (著), 楠美マユラ(イラスト), 2023年, フォーラム・A

 

学業や仕事において全ての人に付加されるであろう評価

自分の能力を図る指針、モチベーションのきっかけにもなり得るものだと思われますが、

評価をどのようにして行えば良いのか?といった悩みに直面することもあるのではないでしょうか。考え抜いた果てには、そもそも評価って何だろう?などの評価それ自体を問う形に着地することもあり得そうです。

著者の三好真史氏は小学校教諭。三好氏もまた、この評価という言葉についてイマイチ理解出来ていなかったと述べており、この経験から大学院で評価について研究した経歴を持ちます。

本書で取り上げられるのは、教育面において評定を決めるための具体的な方法の提案です。

このテーマに沿って主体性や学力の評価方法などが展開されていくのですが、各章の冒頭には漫画が組み込まれています。

漫画の主人公は表紙の左下にいる小学校教師・河合先生。評定の仕方に悩む河合先生は、頼れる先輩教師の手本先生から評価にまつわる事柄を伝授してもらいながら、実践に繋げていくというストーリー仕立てになっています。

この漫画は各章の冒頭に組み込まれており、最初に漫画で一通り説明が施されてから文章でより詳細が語られているため、内容が把握しやすいものとなっているように思いました。

では、本書にもう少し踏み込んでみましょう。第1章を取り上げてみると…。

 

評価にもいろいろある

評定について悩む河合先生に対して、手本先生は「『形成的評価』と『総括的評価』の違いが分かっていない」と指摘します。この時点で、どうやら評価と言っても一口に説明出来ないことが窺えます。

手本先生は漫画、著者の三好氏は文章の中で、2つの評価について説明しています。

まず形成的評価についてですが、著者はこれを「指導のための評価」(p.17)と述べています。

例として挙げられるのは、料理における「味のチェック」(p.12 , p.17)。もう少し塩味を足そう(または減らそう)というように、味見をしながら完成に近づけるわけですが、学習指導においても同様に、生徒が理解出来た部分/難しかった部分を把握することで、教育効果がもたらされているか否かを判断し、授業改善に役立てるのです。

次に、2つ目の総括的評価について。こちらは学期末・年度末といった学習の締めくくりに、学習の到達点を把握するものです。

先に挙げた料理の例を再度持ち込むと、形成的評価が味見の段階なら、こちらは「完成した後の最終ジャッジの場面」(p.19)。また「できあがった料理を口にしてみて、3つ星や4つ星や5つ星を決める」(同頁)行為であるといえます。

また著者は、総括的評価を元に通知表や指導要録に書き記す評定を行うとも述べています。

ここまで2つの評価を比較してきましたが、学習指導の評定において悩むのは、両者を混合していることに原因があるのではないかと著者は提示しています。

例えば、挙げられるのが漢字の小テスト。

小テストは10~20個の漢字を出題することで、生徒の 漢字の分かる/分からないの把握が可能になり、今後の授業に役立てられ、生徒への声掛けが円滑に行えるといった指導に繋がります。

一方で、学期末に総まとめとして実施されるのは大テストですが、これは学習の締めくくり、そして到達点を図る目的があるため、総括的評価に振り分けられるのです。

以上のように、漢字の小テストは形成的評価に分類されるため、細やかに成績を書き留める必要性は無く、むしろ形成的評価で最終的な成績づけをしてはならないと筆者は説明し、こう述べています。

「『成績に含めるべきかどうか』は、その活動が、形成的評価なのか総括的評価なのかを考えてみれば分かることです」(p.22

このようなことから、味見の段階である形成的評価に構えすぎず、2つの評価方法を押さえておけば、シンプルで効果的なものになるという言葉で1章は締めくくられています。

 

曖昧さが労力を生む?

評価という言葉は普段何気なく用いているけれど、いざ実行するとなるとその意味・具体的なやり方や範囲が不明確で、多くの時間と労力を要することに繋がりかねない。

しかし同時に、評価に向き合う研究から様々なカテゴライズが可能となり、その方法を提案出来るのではないかと本書を通じて考えました。

ちなみに1章では評価そのものについて論じられていますが、その他の章では学力主体性の評価方法などについても記されており、章が進むにつれてより評価に踏み込んだ内容になっています。

教育現場の人手不足、それに伴う負担が叫ばれている今日。

いま一度、評価を始めとする実践しがたい曖昧な言葉を見直し、評定の工夫を行うことの意義を感じる一冊でした。

今回の高額商品一覧

最後に毎度恒例、高価で買取させていただいた本の一覧です。

 

上記の買取額は査定当時のものです。時期によって変動することをご了承ください。

今回も数々の良書をお売りいただき、ありがとうございました!

※下の画像の書籍は送っていただいた本のほんの一部です。

スタッフL

 

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