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スタッフブログ 買取日記

2019/12/22

造船・船舶の書籍買取いたしました

今回は造船・船舶、またはその周辺分野に関する書籍の買取となりました。以下に特に良い査定額をお付けできた本をご紹介します。

「幕末の蒸気船物語」
「ロイヤル・ネイヴィーとパクス・ブリタニカ」
「日本近代技術の形成―“伝統”と“近代”のダイナミクス (朝日選書)」
「Building Ships on the North East Coast: 1640-1914 Pt. 1: A Labour of Love, Risk and Pain」
「”Campania” and ”Lucania”」
「日本の造船業 世界の王座をいつまで守れるか」
「平賀譲遺稿集」
「2冊組 原書房 日本近世造船史 明治時代 明治百年史叢書205 1980年」
「2冊組 原書房 日本近世造船史 大正時代 明治百年史叢書206 1935年」
「Royal Mail: The History of the Post Office Since 1840 (History: Bloomsbury Academic Collections)」
「The Empire Ships: A Record of British-Built and Acquired Merchant Ships During the Second World War」
「Normandie: Queen of the Seas」
「全3巻 舵社 船の世界史 上野一郎 上中下巻 1980年」
「日本郵船戦時船史―太平洋戦争下の社船挽歌 (1971年)」
「回想の百年〈下〉―長船の思い出を綴る (1975年)」
「豪華客船インテリア画集―カラースキーム」

などなど。

全体的にやや古めの本が多い印象でしたが、かなり専門的で類書のないものが多く、良いお値段を付けることができました。こういう古い良い本に出会えるのが古書店勤務の醍醐味です。

さて、今回、上記の中で特に気になった一冊を挙げさせていただきます。

「Normandie: Queen of the Seas」
 です。

私の拙い写真ではあまりよく伝わらないかも知れませんが、縦約35センチ、横約24センチ、厚さ3センチ程の、かなり立派な本です。つま先に落としたら足指の骨が折れます、絶対。

と、それはさておき。

こちらの本、元々はフランス語で執筆されたものを英訳し、1985年にアメリカで出版されたものです。題名の「Normandie」はあの「ノルマンディ上陸作戦」のことではなくて、1935年に処女航海に出た豪華客船、ノルマンディ号のことですね。「洋上の宮殿」と謳われた優雅さと、当時ブルーリボン賞を獲得した程の速さを兼ね備えた船の魅力がこの一冊に凝縮されています。ちなみに、ブルーリボン賞は大西洋を最も早く横断した船に贈られる賞のことで、日本映画界のブルーリボン賞とは全く関係ありません。

ノルマンディ号事件とは

ノルマンディ号といえば、その華々しい客船としての活躍から一転、第二次世界大戦勃発という時代の波に翻弄され、接収先のニューヨークで火災にあい転覆、戦後1946年に解体されるという悲劇的な最後を迎えたことでも有名です。当時のフランス政府が威信をかけた文化芸術と科学技術の粋を体現する堂々たる姿と、対して、その短すぎたキャリア、劇的な顛末がその船を神格化させています。

こちらの本では、そんな船ファンが伝説として憧れるノルマンディ号の建造当時の様子の写真、完成後の内部見取り図やインテリアのデザイン画や写真、宣伝用ポスターに至るまで、様々な資料を紹介しています。建造当時の1930年代にフランスで流行していたアール・デコ様式の内装の美しさは、未だに新しささえ感じさせます。

既述の悲劇的最後についても詳しく書かれているので、ご興味のある方は是非読んでみてください。「小さな不運の積み重ねが大きなものを壊すのね、しかも、こんなあっという間に…」となんとも言えない気分になりますよ。

ノルマンディ号が建造されてから来年で85年が経ちますが、これほど未だに多くの人を魅了し続ける船も珍しいのではないでしょうか。去年は横浜の博物館でもノルマンディ号資料の展示会をしたようです。わたしも、こちらの本ですっかりノルマンディ号のファンになってしまいました。またどこかで展覧会、やってくれないかしら。

今回もたくさんの良書をお譲りいただき、ありがとうございました!

スタッフN

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