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2020/12/15

芸術関連(画集・図録など)書籍の買取

今回は芸術関連の書籍(画集や図録)を中心に買取をさせていただきました。以下に特に良い査定額をお付けできたものを紹介させていただきます。

「テキスタイルの描きかたと手順がわかる 2000 pattern」
「Arne Jacobsen」
「Poul Kjaerholm」
「ルーシー・リー展」
「終わりなき変奏 INFINITE VARIATIONS」
「ジブリの立体建造物展 図録」
「エミリー・ウングワレー展 アボリジニが生んだ天才画家 [図録]」
「スタジオジブリ・レイアウト展 図録」
「図録 ルネ・ラリック 華やぎのジュエリーから煌きのガラスへ 2009年 国立新美術館」
「図録 加山又造展 KAYAMA MATAZO Retrospective 1927-2004 2009年 国立新美術館」
「Hammershøi and Europe」
「Light years ahead: The story of the PH lamp」
「フィンランドのくらしとデザイン ムーミンが住む森の生活」
などなど。

どちらも本ブログ担当者の大好物なのですが、今回特に気になった一冊はこちら。


「フィンランドのくらしとデザイン ムーミンが住む森の生活」

です。

こちらは、2012年から2013年に青森県立美術館や宇都宮美術館で開催された同名展覧会の図録です。
ヘルシンキから油彩・建築図面・家具・陶器など350点あまりの展示物が空輸され、フィンランドの美全般が広く紹介された展示でした。

皆様はフィランドというと、どういったイメージをお持ちでしょうか?
中には「北欧デザイン?ああ!IKEA?」と言われる方もいるかも知れません。

が。

それ、スウェーデンですよ。

・・・そうなんですよね、北欧というと、スカンジナビア三国、ノルウェー・スウェーデン・フィンランドがごっちゃになっている方もいらっしゃるかも知れません。さらに日本では「北欧スタイル」なんていう言葉が当たり前に使われているため、上記三国ともに似通ったデザインが溢れているんじゃないかと思われがちです。

しかし、混同されがちなのにも一理あって、フィンランドは19世紀まではお隣のスウェーデンに支配されており、(その後はロシアにより自治大国という位置づけで統治されていました)現在もスウェーデン語が公用語の1つになっています。例えば、トーベ・ヤンソンの「ムーミン」はフィンランドが生んだ傑作の1つですが、フィンランド語ではムーミンを「Muumi」、スウェーデン語では「Mumin」と綴り、英語の「Moomin」、日本で浸透している「ムーミン」には、むしろ、スウェーデン語の方が近い感じなのです。

ただ、ムーミンの例ではまだ両者の言葉が近い印象を受けますが、フィンランド語はスウェーデン語とは全く異なっていることが知られています。ここでも例えを出しますと、スウェーデン語の「ようこそ」はVälkommen(英語:welcome,ドイツ語:willkommen)で、英語などのゲルマン諸語から類推できなくもない形ですが、フィンランド語ではTervetuloaとなり、もはや、なんと発音するかもよく分かりません・・・。

これは、スウェーデン語が古ノルド語を、フィンランド語はウラル系の言語を語源とするため、フィンランドは他のヨーロッパの国々とは言語的に趣を異にすることによります。また、民族的にもスウェーデンがゲルマン民族をルーツに、一方、フィンランドはアジア系民俗をルーツに持つことなどもあり、フィンランドは北欧三国の中でも、かなり特徴的であると言えるのです。それは、文化を凝縮された形となって表出するデザインにも、もちろん反映されているはずです。

フィンランドのグッド・デザインの代表として、今回来日した作品を具体的に挙げますと、アルヴァ・アアルトの家具、アクセリ・ガレン=カレラの油彩画、エリエル・サーリネンの建築図面、カイ・フランクの陶器やガラス製品、マリメッコのテキスタイル、既出のトーベ・ヤンソンのムーミンなど多数ですが、言われてみれば、それらフィンランドの生活に根ざした・素朴で温かみのある・いつも隣に寄り添うデザインには、確かに通底する「何か」を感じるのです。それは、単なる「エコ」や「グッド・デザイン」という言葉で片付けられるべきでない「何か」なのですが・・・すみません、語彙が足りなくて表現できないので、実際に図録をご覧になってみてください。もしくは、彼らの作品群に触れてみてください。

 

本展覧会では、フィンランド・デザインの歴史を19世紀から20世紀初頭、ミッド・センチュリーと呼ばれる20世紀半ば頃、2000年代の3つの時代に分けて見ていくのですが、その一番最初の年代に当たる19世紀から20世紀初頭に見られたナショナル・ロマンティシズムといわれるフィンランドの文化運動(年代的にはアアルトの建築が高い評価を得た頃に当たります)が1917年のロシア革命からの独立の時期と重なっていたことも、その「フィンランドらしさ」を内外に強調する装置として働いたことも頭の片隅に置く必要もあるかも知れません。

このナショナル・ロマンティシズムについては本図録の冒頭にて触れられており、フィンランドの国の人々がどういったことを大事にしており、このデザイン性に結実したのか、多少面倒でも解説を読み込んでから図版に触れる作業をされると、本展覧会の魅力を余すことなく吸収できるように思います。

主催者側にも「フィンランドという国自体をもっと日本に知ってもらいたい!」というアツイ思いがあったのか、こちらの図録、多くの展覧会図録より作品解説に加えてフィンランドという国についての解説(例えば、国民的叙事詩「カレワラ」について)の分量が多めな気がしますが、P16からP17 に掲載された宇都宮美術館主任学芸員の方がおっしゃるところの「うわべだけのエコロジー」ではない、フィンランド美の世界をより深く味わうため、頑張って読んでみてください(←ダレ目線?というツッコミは甘んじて受けます(笑))。

フィンランドを知る読み物としても面白い一冊でした。

今回も良書をたくさんお譲りいただき、ありがとうございました!

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