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スタッフブログ 買取日記

2021/02/26

医学書(眼科)の買取

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今回は医学(眼科)に関する書籍を中心に買取をさせていただきました。以下に特に良い査定額をお付けできたものを紹介いたします。

「屈折異常 (コンパクト眼科学 (3))」
「眼瞼・涙器疾患―眼瞼下垂・眼瞼内反・涙道閉塞 (コンパクト眼科学 (14))」
「調節・眼精疲労 (コンパクト眼科学 (16))」
「ロービジョンケア―視覚障害に対する認識とケアの向上をめざして (コンパクト眼科学)」
「働きやすい職場をつくる 医療現場の労務管理」
「医療事故対応の実践 判例と実例に学ぶ」
「まぶたで健康革命―下がりまぶたを治すと体の不調が良くなる!?」
「足立美術館の庭園」
「薬と人間 スズケン50年記念」
「眼アレルギー 朝倉書店」

などなど。

リストの下から2番目、「薬と人間 スズケン50年記念」のスズケンさんは医薬品物流事業分野の大手ですね。わたくし、古本に関わる前には医療の仕事(眼科クリニックでの事務)をしていたことがあり、スズケンさんにはお世話になっていました。人間と薬、医学の古来からの関係を図版たっぷりでまとめた図鑑のような本書、ガッツリとした読み応えです。

ですが、今回ピックアップする一冊はこちら。

「まぶたで健康革命―下がりまぶたを治すと体の不調が良くなる!?」(2008年初版 小学館)

です。

手元にある写真の本は2016年初版2刷になります。

著者はこの2刷が発行された年に静岡県に眼瞼クリニックを開業された松尾清氏。2008年までに後述する腱膜性眼瞼下垂症のオペを6,300例以上こなした、その道のスペシャリストです。

「眼瞼クリニック」(眼瞼=まぶた)とは、なかなかピンポイントな治療施設ですよね。ここで少し注釈を入れておきたいのですが、こちらのブログのタイトルにも「医学書(眼科)」と書いてしまいましたし、「眼瞼」とくれば著者の松尾氏も【眼科】のエキスパートと思われてしまうかも知れませんが、ご専門は形成外科です。その中でも、例えばヤケドや悪性腫瘍切除などにより体表面が損なわれてしまったり、先天的に形成がうまく行っていなかったりしたところに形成術を施す再建術に多く関わっていらっしゃるようです。

 

さて、話は本書の中心話題の「まぶた」に戻ります。

本書では「原因不明の頭痛・肩こり・果てはウツの原因が下がってしまったまぶた=眼瞼下垂症にあるのだ!」と断言しているところに大胆さがあります。

氏いわく、そういった不定愁訴が起きるメカニズムは

1・まぶたを開けるための腱膜が、まぶたを持ち上げるための組織である瞼板から外れてしまう。

2・それを補うためにミュラー筋が働く。

3・ミュラー筋が働くことによって固有知覚が生まれ、脳の覚醒に作用する脳幹の青斑核を刺激。

4・青斑核が刺激されると交感神経が緊張状態になり、身体に不調をきたす。

と、ざっくりと言えばこんな感じなのだそうです。

1の「腱膜が瞼板から外れる」というのは眠さ、かゆみなどで目をこするなどしていても起こるのだそうです。また、2で出てくるミュラー筋というのは、腱膜の代わりに働いてくれているのですが、これも経年とともに伸びた状態になり、ミュラー筋ですら無理をする状態になると、頭部を包み込むようにある筋肉も収縮させてまぶたを開かなければならなくなり、さらなる肩こり・頭痛を引き起こすという悪循環を引き起こします。

本書冒頭に、頭痛や肩こりの悩みを持っていた人が、この腱膜が瞼板から外れてたことによって起こるまぶた下がり=腱膜性眼瞼下垂症対策の手術を受けたことにより、その症状から解放されたばかりかウツ的な気分もなくなったというエピソードが披露されており、思わず「マジか…」という声が漏れてしまいました。

しかし、同じ人のエピソード中に、手術待ちの期間中はまぶたにセロハンテープを貼るだけでも効果があるいうことで言う通りにしたところ、たちどころに症状が軽くなったという話もあり、そこにはさらに大きな「マジか(笑)」が出てしまいました。

氏の説によれば、セロハンテープを貼ることで上述のミュラー筋が頑張って働くことを阻止できるので、結果諸症状が改善されたということなのでしょう。

他にも、一重まぶたの人は頑張ってまぶたを上げなければならない=ミュラー筋を頑張って働かせる=交感神経がいつも興奮状態=肩こり・頭痛がひどい、つまり「一重まぶた=肩こり・頭痛もち」という、そこだけ切り取って聞かされると思わず何回も「マジか!?」が出てしまう説も出てくるのですが、懇切丁寧に、時にはあの樋口一葉(見事な一重まぶたで頭痛持ちであったことが知られる)を例にとりながらミュラー筋・固有知覚・青斑核・交感神経の刺激サークルの悪弊を説明されていると、だんだんと「なるほど・・・」と思えてくるのですから、やはり専門家はすごいです。

 

本書では、上述したようなメカニズムの解説(第一章)から、自分のまぶたがどの程度の下垂症状であるのか(第二章)、その対処方法(第三章)、眼瞼下垂により起こる症状の詳説(第四章)、眼瞼下垂を治す手術方の紹介(第五章)という章構成がされています。

すでに書いたように「え?マジか」と思うようなご意見が散見されつつも、自分にも当てはまる症状(第四章、まぶたがピクピクする)を見つけた時は「もしかして、これが原因なの・・・か?」とアプローチ候補が増えたのは、なかなか面白かったです。

頭痛・肩こり、やる気が起きないなどの症状に「もしかして、これか?」を検討してみたい人にオススメの一冊でした。

 

今回も良書をたくさんお譲りいただき、ありがとうございました!

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