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2021/10/26

小児医療に関する書籍の買取 「カラーイラストでみる 先天性心疾患の血行動態 治療へのアプローチ」2012年初版、文光堂

今回は小児医療に関する書籍を買取いたしました。以下に特に良い査定額をお付けできたものを紹介します。

「周産期医学2019年49巻増刊号 周産期相談310 お母さんへの回答マニュアル」
「270動画でわかる赤ちゃんの発達地図: 胎児・新生児期から歩行するまでの発達のつながりが理解できる」
「カラーイラストでみる 先天性心疾患の血行動態 治療へのアプローチ」
「すぐわかる小児の画像診断 改訂第2版 (画像診断別冊KEYBOOKシリーズ)」
「新生児栄養学-発達生理から臨床まで」
「ハイリスク児のフォローアップマニュアル-小さく生まれた子どもたちへの支援 改訂第2版」
「エコーで診る 先天性心疾患[Webで見る動画付き]」
「内科医・小児科研修医のための小児救急治療ガイドライン 改訂第4版」
「小児内分泌学 改訂第2版」
「小児・思春期糖尿病コンセンサス・ガイドライン」
「小児外科診療ハンドブック―実地診療に役立つ周術期管理と手術のポイント」

などなど。

医療系の書籍はそもそも定価が高いこともあり、良い額で買い取らせていただくことが多いです。しかし、それは比較的新しい情報の載ったものであることが前提です。医療系の書籍で新刊の定価が高かったものでも、情報が古くなってしまったもの(具体的には発行年が古いもの、新版が発売されているものなど)はお値段が下がってしまします。

不要になった医療系書籍がありましたら、古くなる前に是非お譲りください。

ただし、漢方・東洋医学の本(例:金匱要略、傷寒論など)は古いものでも良いお値段が付くことがあります。「これはどうかな?送ったのに値段が付かなかったら嫌だな」などご不安がございましたら、ご送付前に事前見積をお出しすることもできますので、お気軽にお尋ねください。

さて、そんなわけで高額の本が多かった今回の査定の中でも特に気になった一冊をご紹介したいのですが、それがこちら。

カラーイラストでみる 先天性心疾患の血行動態 治療へのアプローチ」2012年初版、文光堂

著者は東京都世田谷区にある国立育成医療研究センター、心臓血管外科の医師4名。同研究センターは病院と併設されており、周産期や小児、思春期などリプロダクションに関して生じる疾病・疾患を総合的に研究・治療する施設です。2016年には「世界で最も技術的に先進的な30の小児病院」として選出されたそうです(wiki◯edia参照)。

そんな日本でもトップクラスの医療機関で、先天性心疾患を専門的に担当されている医師が書かれた本なのですから、参考にならないはずがありません。

本書「序文」に書かれていることですが、先天性心疾患は種類が多く、解剖が複雑です。疾患の種類によって血行動態が異なるため、それに適応できる手術法や周術期管理のポイントが異なるのです。同院では治療に当たるスタッフ間で、術式についてイラストを交えて説明・知識を共有していたそうなのですが、本書はこの「説明イラスト」の集大成といえるものです。本書では各疾患に対応した術式のみならず、心臓そのもの、解剖や人工心肺などの基礎知識に加え、各疾患に対応した周術期管理のポイント、合併症の項目などを追加し補強しています。

これだけ盛りだくさんの内容ですと、どうしても稀な疾患や特殊な病態、例外的な治療法については割愛せざるを得なかったようですが、わかりやすくシンプルにまとめることに注力。そのため、「序文」にもある若手の心臓外科医、小児循環器科医、麻酔科医、医学生や看護師、臨床工学技士など関係する治療者たちがいつでも参照できるものにするという狙いは十二分に達成されていると言えると思います。

一般人としてはあまり関わり合いになることのないこういった医学書ですが、同じく「序文」を読んでいて、「患者の家族に対する説明資料としても使える」という発行目的があったことにハッとしました。この本に関わる先天性心疾患の治療を要する患者は主に小さな、特に生まれたばかりの子どもたちです。その保護者の心情はいかばかりでしょう。ただでさえ混乱している精神状態のところに小難しい医学用語を並べられても、治療の妥当性など判断できるわけがありません。あくまで治療の主体は医療者たちですが、それを納得して受けられるように「説明資料としても使える」旨を「序文」に掲載する配慮があることこそ、著者たちが単なる小児外科医ではない、患者やその家族を一体的にケアする一流の治療者である証拠なのではないかと感じました。

最後に蛇足となりますが、コロナで何かと話題になったECMO(体外式膜型人工肺)についての記載箇所もあります。コロナで肺機能が著しく損傷した場合に最終的な切り札として注目されたECMOですが、その設置台数は全国で約1,400台(2020年3月時点)。1台あたりにも高度な専門的知識を有した治療者がチーム体制で厳重なチェック体制をもって運用しなければならず、設置台数に対して実際に使える台数はそこまで多くはないのではないかという指摘もあります。

改めて、コロナ云々以前にこの機器を必要としている人がいることを考えると、その治療機会を奪うことはしたくないな、そのためには感染予防は引き続きしっかりしないとな、と思わぬところで身を引き締めた読後でした。

今回も良書をたくさんお譲りいただき、ありがとうございました!

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