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スタッフブログ 買取日記

2019/11/28

言語学・民俗学・歴史書籍の買取させて頂きました

今回の買取は言語学や民俗学、歴史、思想や哲学関連の図書が中心でした。言語学の本は洋書が多かったです。以下に良い査定額をお付けできた本をご紹介します。

「Cognitive Linguistics: An Introduction」

「The Oxford Handbook of Linguistic Analysis (Oxford Handbooks in Linguistics)」

「The Oxford Handbook of Language Evolution (Oxford Handbooks in Linguistics)」

「An Introduction to Functional Grammar」

「Understanding Morphology: Second Edition (Understanding Language)」

「Indefinite Pronouns (Oxford Studies in Typology and Linguistic Theory)」

「Cognitive Grammar: A Basic Introduction」

「The Oxford Handbook of Cognitive Linguistics (Oxford Handbooks)」

「Grammaticalization in Korean: The Evolution of the Existential Verb (Saffron Korean Linguistics Series)」

「Oxford Phrasal Verbs Dictionary for Learners of English (Reference)」

「かなづかい入門―歴史的仮名遣vs現代仮名遣 (平凡社新書)」

「母性という神話 (ちくま学芸文庫)」「人間の条件 (ちくま学芸文庫)」

「インド人の論理学―問答法から帰納法へ (中公新書)」

「シャーマニズムの世界 (講談社学術文庫)」「イギリス史 (世界各国史)」

「中国歴代王朝秘史事典」「中国史 (世界各国史)」

「知の座標―中国目録学 (白帝社アジア史選書)」

「エリアーデ著作集 第1巻 太陽と天空神」「チングー・韓国の友人」

「風水探源―中国風水の歴史と実際」

「神の歴史―ユダヤ・キリスト・イスラーム教全史 (ポテンティア叢書)」

「悲しき熱帯 下」

 

 などなど。

一番最後の「悲しき熱帯」は言わずと知れたレヴィ・ストロースの代表的著作ですね。実はこちらの「悲しき熱帯」、上下巻揃っての買取だったのですが、上巻はカバーが欠損しておりました。本体自体には問題がなかったので、カバーがあったらもう少し良いお値段を付けられたかも知れません。お譲りの際は付属品(カバー、ある場合にはCDやCD-ROM、赤シートや別冊解答などもこれに該当します)もお付けいただけると、より良い条件で買取させていただけますので、ご記憶にお留め置きくださいね。

さて、今回も気になる一冊のピックアップ、非常に迷いました。「人間の条件(ハンナ・アーレント著)」なども教養を深めるためにも一度お手合わせ願いたいと思う作品ですが、今回はこちらにしました。

「シャーマニズムの世界 (講談社学術文庫)」

です。

著者は佐々木宏幹(ささき こうかん)氏。こちらの文庫版は1992年に講談社学術文庫より初版が発行されていますが、元々は氏が1983年に「憑霊とシャーマン―宗教人類学ノート」(東京大学出版)として刊行したものを再編成したものです。1983年に出版されたバージョンもいくつかの論文をまとめた著作集のようなものだったようで、いくつかの章に同じ事例が重複して紹介されている部分もあります。

「シャーマニズム」というと、未開民族のものであり進化した宗教には見られないものであるというイメージがありますが、そうではなく、シャーマニズムが普遍的宗教であるというのが氏の主張です。本書では国の内外を問わず、具体的なシャーマン的人物の事例が何例も紹介されているのですが、そういった事例の比較考察を交えながら「シャーマニズムとは何か」についての著者の研究のまとめの成果が本書と言えそうです。

「シャーマン」について何かイメージをするとき、浮かびがちなのが「トランス」だと思うのですが、氏の取り上げる事例を読むと、それはシャーマン的行為に必ずしも伴うものでもないということが分かります。また、シャーマンがいかにしてシャーマンになるのかなど、意外なことや、そもそも常人では想像もしてみないことが紹介されており、宗教学的にどうとか、文化人類学的にどうだとかいうこと抜きに読み物としても興味深いものがありました。天皇の大嘗祭についてもシャーマニズムの観点から触れている部分があり、時期的にも味わい深かったです。

また、著者は否定的な立場であったようですが、シャーマン的な人物には、その親族もシャーマン的であったことが多くみられる(沖縄の事例)ことなどから、精神病理的、遺伝的切り口からシャーマニズムを見ても面白いのではないかと思いました。それに、フーコーが「狂気の歴史」でいうところの「狂気」がこういったシャーマンの世界に内包されていたと仮定すると、シャーマンの世界が世俗からのはみだし者の受け皿として機能してたんじゃないのかな~とか、思ったり。一つの著作からいろんな切り口を想像できる、深い読書の時間を持てました。

 

今回も良書をたくさんお譲りいただき、ありがとうございました!

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