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2020/10/13

海洋関連の書籍買取

今回は海洋に関する本(海洋に暮らす生物や海洋気象学、それに関連する物理学や統計学など)を多数買い取らせていただきました。その中でも特に良い査定額をおつけすることができたものを以下に紹介いたします。

「日本クラゲ大図鑑」
「詳論 沿岸海洋学 (沿岸海洋研究会50周年記念)」
「UNIX/Windows/Macintoshを使った実践 気候データ解析―気候学・気象学・海洋学などの報告書・論文を書く人が知っておきたい3つのポイント」
「小学館の図鑑Z 日本魚類館: ~精緻な写真と詳しい解説~」
「気象予報の物理学」
「生物学を学ぶ人のための統計のはなし―きみにも出せる有意差」
「稚魚―生残と変態の生理生態学」
「海洋の物理学 (現代地球科学入門シリーズ)」
「統計学入門 (基礎統計学Ⅰ)」
「海洋の波と流れの科学」
「海洋波の物理」
「Geophysical Fluid Dynamics」
「自然科学の統計学 (基礎統計学)」
「時系列解析プログラミング―FORTRAN77 (岩波コンピュータサイエンス)」
「沿岸の環境圏」
「Atmosphere-Ocean Dynamics (International Geophysics)」
「沿岸の海洋物理学」

などなど。

その中でも特に気になった本がこちら。

「稚魚―生残と変態の生理生態学」(2009年、京都大学学術出版会)

です。

皆さんは、「仔魚」という表記に馴染みはありますか?一般的には「小魚」の方が普通ですよね。学問の世界では、卵から孵化した魚が親魚とは似ても似つかぬ姿でプランクトン状に海洋を漂っている期間を「仔魚」と呼ぶそうです。その間、孵化から約1ヶ月。その後、親魚と同じような姿形になり成熟するまでを「稚魚」と呼びます。

こちらの本のタイトルにも「稚魚」という表記がありますが、この「稚魚」は、その「仔魚」期と「稚魚」期を合わせた幼魚期を指すそうです(本書「はじめに」より)。

ちなみに、「仔魚」の分かりやすい例について、(これも「はじめに」にある例をそのまま引用しますが、)カタクチイワシを例にとると、「ちりめんじゃこ」になる時期は仔魚、「だしじゃこ(煮干し)」になる時期は稚魚、ということになる。…そうなんですが、うーん、この本を読むまで、そういった見方はしたことがなかったです。なんだか新鮮ですね。

現在、世界中には2万とも、4万ともいわれる種類の魚が生息しているそうですが、その中でその「稚魚」の時代の生活史が明らかになっているのは、わずか100~200種のみなのだそうです。魚の全生活史から見れば稚魚としての生活史はわずか100分の1ほどの短さであること、また、産卵から成魚になるまでに1000分の1~1万分の1にまでその数を減らしてしまう(このことから稚魚の時代を「初期減耗期」と呼びます。)ことなど、その生態を明らかにすることが難しいことが要因として考えられます。

本書では、そういった知られざる稚魚の初期生活史の中でも代表的なものを、変態と生き残り戦略に焦点を当てて概略を描くことを目的としています。

本書の大まかな内容は以下の通り

・第一部「試練を越えて稚魚へと”変態”」

・第二部「食べて食べられ…摂食と被食の間の生き残り」

・第三部「人の暮らしと稚魚の叫び」

第一部、第二部では「はじめに」で書かれていた本書の狙いとまさに合致する部分ですが、第三部の、人の食料資源としての魚=養殖についてや、自然環境下での保全=環境保護の部分なども、もちろん重要なところです。むしろ、魚食が文化的にも根付いている日本において、他国に比べても多く蓄積された稚魚の生活史、飼育条件などの知見を、ここの部分に導くために集約することに意味があるのではと思います。

多分に専門的な内容も多い本書ですが、そういった自文化が置かれた危機(稚魚の乱獲による資源減少など)に、あるいは自文化がどういったものであるのかについて改めて知るためにも、一般読者も是非読んでいただきたい書です。

頭から読んでいくのに抵抗がある方は、近年大きなニュースになったニホンウナギの仔魚の生活史が明らかになった部分や、あんな魚やこんな魚の「仔魚」時代の意外な姿、コラムを読むだけでも面白いですよ。

また、本書は筆者らが編者となって前年に出版した稚魚研究の各論的な本「稚魚学:多様な生理生態を探る」に続く総論的なものとしての位置づけもあるので、本書にて興味を持たれた方は、こちらの本も参照されると、より理解が深まることと思います。

今回も良書をたくさんお譲りいただき、ありがとうございました!

 

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