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2021/02/18

法学・政治に関する書籍の買取

今回は法学と政治に関する本を中心に買取をさせていただきました。以下に特に良い査定額をおつけできた書籍を紹介いたします。

「小学館プログレッシブ和英中辞典〔第4版〕」
「有斐閣判例六法 令和3年版」
「新明解国語辞典 第八版」
「憲法判例と裁判官の視線 — その先に見ていた世界」
「新装版 法学入門」
「ジーニアス英和辞典第5版 革装」
「ウィズダム英和辞典 第3版 革装」
「安倍・菅政権vs.検察庁 暗闘のクロニクル」
「学問/政治/憲法――連環と緊張」
「不寛容論: アメリカが生んだ「共存」の哲学 (新潮選書)」
「立憲主義と日本国憲法 第5版」
「キクタンメディカル〈3〉診療と臨床検査編―聞いて覚える医学英単語 (英語でつなぐ世界といのち医学英語シリーズ)」
「キクタンメディカル〈2〉症候と疾患編―聞いて覚える医学英単語 (英語でつなぐ世界といのち医学英語シリーズ)」
「論点体系 判例憲法 ~裁判に憲法を活かすために~ 1【大好評の論点体系に憲法が新発売!】」
「論点体系 判例憲法~裁判に憲法を活かすために~ 3【大好評の論点体系に憲法が新発売!】」
「論点体系 判例憲法 ~裁判に憲法を活かすために~ 2【大好評の論点体系に憲法が新発売!】」
「新版 体系憲法事典」
「法からみる国際関係―国際法・国際私法からのアプローチ (放送大学教材)」
「新・コンメンタール憲法 第2版」

などなど。

実用的だったり、実際的だったりする政治・法学の書籍もありますが、どちらかというと哲学や思想に分類されるようなものが多い感じですね。

「不寛容論: アメリカが生んだ「共存」の哲学 (新潮選書)」は2020年に発売されたばかりの森本あんり著(他著にヒット作「反知性主義」)の政治思想史の本です。「もし、しばらく売れなかったら自分で買っちゃおうかな~うふうふ♪」とか考えていたのですが、出品した途端に売れていきました・・・。やはり、新しくて注目の著者の作品は人気ですね。

しかし、今回ピックアップする本は別の本。こちらです。

「学問/政治/憲法――連環と緊張」(2014年、岩波書店)

挑戦的なタイトルですね。編者でもある石川健治氏を含めた7人の法学者と弁護士による7編の論文が収められています。

この7名はいずれも1980年代に東京大学法学部研究室で修業時代を送っており、憲法学者・樋口陽一(1934年~)の弟子、もしくは後輩であるという共通項があります。樋口陽一氏は後述のハンス・ケルゼンを日本に紹介した憲法学者・清宮四郎の弟子です。その清宮はあの美濃部達吉の門下だというのですから、すごい「メンター・チェーン」ですよね。

本書はその樋口氏の傘寿記念に編集・出版されたもので、帯に「樋口憲法学とどう向き合うか」と記されているのには、そういう事情があります。

 

帯の裏表紙側、「はじめに」からの引用です。

「学問と政治の緊張、政治と憲法の緊張、憲法と学問の緊張を、自覚的に引き受けることなしに、憲法学は成立し得ない。」

学問、政治、憲法の三つ巴関係を表現したくてこのタイトルにした、と編者は「はじめに」で書いています。しかし、素人考えからすると、学問と憲法の関係性には近いものがあり、その2つが政治と対立しているイメージが強くあります。それとも、それは政治学に関する本の買取を多くしてきた古本屋店員の偏った認知なのでしょうか。実際に法廷で運用されている憲法と、学問的に論じられる純粋な法としての憲法には齟齬があるのでしょう。少なくとも、このタイトルからは三者が対等の緊張感を持って並立している(すべき?)ことが伺えます。

 

さて、こちらの本ですが、一応一般書のカテゴリーで出版されています。
それらしく、「憲法」という硬い題材に関する本にしては文体や主題なども著者によってバラバラ(理論憲法学の軸足をおいた論文であることは共通)で、シークエンスについてはこだわっていません。編者自身もそれを「まとまりのない」と評しています。

各論文の主要テーマは「はしがき」にまとめられていますが、それを読むだけでも結構内容がバラバラです。以下に各表題と筆者などを書き出します。

1章「窮極の旅」(石川健治)

・・・清宮四郎の「違法の後法」を素材として「法の窮極」を求める学知の営みが、政治による「法の破砕」と格闘するさまを描く。

2章「旧ヨーロッパ的」あるいは「実存主義的」ケルゼン(毛利透)

・・・ドイツの法学家ハンス・ケルゼンが国家認識から追い出したはずの「実体」だが、それは「実存」を「実体」として想定しないと成立しない議論になっているのではないか。

3章「自由の共和国の憲法思想 70年代主権論争、そして、その後」(山元一 )

・・・樋口学説の背景に国家と私人の枠組みの間に抗ー事実的な自由の共和国を構築するという問題意識は発見できるのかを論じる。

4章「ウソをつく権利?ーカントと不完全な世界」(長谷部恭男)

・・・著者陣の中で唯一、門下生ではなく、樋口氏の後輩である長谷部恭男の論文。東大法学部を去る際のラスト・メッセージ。

5章「「たたかう民主制」論の現在 ーその思想と現在」(渡辺康行)

・・・ヘイトスピーチに言及。独仏の比較考察も行っている。

6章「個人の尊厳と人間の尊厳」(遠藤比呂通)
7章「尊厳と身分」(蟻川恒正)

・・・後半では太宰治と木庭顕を題材にとる。6章で提起された問いに対応している。

それぞれのタイトルをご覧になれば分かるように、その考察対象や思想のバックグラウンドは憲法学に留まらず文学や哲学の領域にまで及ぶため、一般向けとはいえども難解な内容であると言えます。一見、法律書にしては平易な文章に見えるものもあるのですが、読んだつもりで振り返ってみると「あれ?実は何言ってるのかよく分からない・・・」と同じところを往復することになります。それでやっと理解できるところも。(いや、往復しても理解不能なところもあるのですが、そこは私の浅学さゆえでしょう。)

 

「はしがき」には、こちらの7編について「一見目新しい現象も、多くの場合、古くからの主題の変奏にすぎない。」と、”切り口としては斬新だけれども、主題的にはずっと論じられてきたものである、だからこそ、「本質的」である”としています。表面的にはこのまとまりのない、そして、一般向けに書かれたからこそ多くの人の目にふれる機会を与えられるであろうこの論文集が、学問/政治/憲法の連環と緊張の中における「本質的」な主題を、一般人である私にそっと・ちらっと姿を見せてくれる瞬間が心地よい読後でした。

ちらっとじゃなく、ガッツリ姿を拝むためには相当な勉強が必要なようです。とほほ。

 

今回も良書をたくさんお譲りいただき、ありがとうございました!

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