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2021/04/08

人文科学(社会学・哲学・ノンフィクションなど)書籍の買取 「祖国が棄てた人びと―在日韓国人留学生スパイ事件の記録」

今回は人文科学分野の社会学・哲学・歴史・ノンフィクション・芸術に関する幅広いテーマの本を買取させていただきました。以下に特によい査定額をお付けできた本を紹介します。

「復興に抗する 地域開発の経験と東日本大震災後の日本」
「祖国が棄てた人びと――在日韓国人留学生スパイ事件の記録」
「移民政策とは何か: 日本の現実から考える」
「東大生に語った韓国史」
「都市社会学: 歴史・思想・コミュニティ」
「明清学術変遷史」
「キリスト教神秘思想史〈3〉近代の霊性」
「「サークルの時代」を読む: 戦後文化運動研究への招待」
「歴史を射つ: 言語論的転回・文化史・パブリックヒストリー・ナショナルヒストリー」
「評伝 尹致昊――「親日」キリスト者による朝鮮近代60年の日記」
「インド・パキスタン分離独立と難民――移動と再定住の民族誌」
「ウラジオストク 日本人居留民の歴史 1860~1937年」
「中国歴史地図」
「ヴァルキューレ:舞台祝祭劇『ニーベルングの指環』第1日 (ワーグナー・オペラ対訳シリーズ)」
「トリスタンとイゾルデ (ワーグナー・オペラ対訳シリーズ)」
「トマス・アクィナス (中世思想原典集成)」
「エラノスへの招待―回想と資料 (エラノス叢書)」
「ジャワ更紗」

などなど。

 

毎回のようでしつこいですが、どの本も面白そうなので「気になる一冊」を選び出すのに非常に苦労するこちらのブログ。今回は色々迷った末にこちらの本にしてみました。

「祖国が棄てた人びと――在日韓国人留学生スパイ事件の記録」(2018年 明石書店)

著者は韓国人ジャーナリストの金孝淳(キム・ヒョスン)。年齢などがはっきり分かる資料がないのですが、1974年にソウル大学卒、2012年にハンギョレ新聞退社とあるので、現在は70歳くらいでしょうか。こちらの本は韓国では2015年に刊行され、その3年後に日本語訳版が発売されました。

この本を読む前に念の為注意していただきたいのが、主人公となる「在日」の方たちは「在日朝鮮人」ではなく、「在日韓国人」である点です。こちらの本で扱っている事件は南北朝鮮対立が激化していた1970年~1980年代にかけ、日本から韓国に留学した「在日韓国人」が「北のスパイ」としてでっち上げられ、死刑をはじめとする極刑・重刑に処されたというもの。その目的は、韓国人民に対して北の脅威を強調し政権への反対の動きを封じ込めるため(訳者「あとがき」より)であり、非常に政治的なものでした。

当時、日本で生まれ育った在日韓国人2世は祖国のことを直接的には知りません。それでも、祖国と日本の間で自らのアイデンティティに悩み、祖国の土を踏みます。その青年たちが政治利用のために、まさに「祖国に棄てられた」のです。本書ではそのようないわゆる「在日韓国人」以外にも、一時的に日本に滞在して帰国したビジネスマンなども同様に政治犯に仕立て上げられた事例も紹介しています。

1970年代には、日本でそうした在日韓国人政治犯を支援する団体なども立ち上げられ一時的に話題にはなったものの、日本では知られることすらなかった被害者がまだまだ居ました。それはすなわち、この件は政治・歴史の闇に葬られたブラックボックスで、韓国内では誰も触れてはいけないタブーであったことを意味します。40年、30年の月日が経った2015年にやっと韓国でこの本が刊行されたこと自体がそれを物語っているでしょう。実際、この事件についてここまで本事件の全貌に触れ、まとめた著作は韓国国内にもないのです。

訳者あとがきにも、この事件について韓国人が発表できたことに大きな意味があるとしています。

しかし、この日本語訳版、同あとがきに「原本の一部を省略して訳出」したとあります。「全貌に」と書きましたが、日本人読者の利便性も考慮して各章タイトルも変更が加えられているようで、本来のニュアンスを余すところなく吸収するには、原本に当たる必要がありそうですね。

 

しかし、日本語版にあてた著者まえがきに「韓国の民主化のスピードは早い。日本では意味のある進化がほとんどなかったけど」という趣旨のことを書いているのには少々胸中ざわつくものがありました。それを力いっぱい否定できないのが悲しいですが…。

とりあえず、こちらの本を読んで、韓国の民主化進歩の一端を見せてもらおうじゃないか!日本いついてはそれから!(悲)と感じた春の日でした。

 

今回も良書をたくさんお譲りいただき、ありがとうございました!

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