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2021/11/16

文化・哲学関連書籍の買取 「Manga」(2019,The British Museum)

今回は文化や哲学に関する書籍の買取をいたしました。以下に特に良い査定額をお付けできたものを紹介いたします。

「いやな感じ」
「Convenience Store Woman」
「転倒させる快楽―バフチン、文化批評、映画 (叢書・ウニベルシタス)」
「フィルム・スタディーズ事典―映画・映像用語のすべて」
「中動態の世界 意志と責任の考古学 (シリーズ ケアをひらく)」
「博論日記」
「The Melodramatic Imagination: Balzac, Henry James, Melodrama, and the Mode of Excess」
「バンド・デシネ 異邦人」
「Manga」

などなど。ご覧のように、和書・洋書含む内容となりました。

「Convenience Store Woman」は以前こちらのブログでも取り上げたことがありますが、村田沙耶香の「コンビニ人間」(2016)の英訳版です。日本語版も英語版も面白いのでオススメです。

さて、今回も気になる一冊を選ぼうと思った際に迷った本が2冊あります。それが、上記リストの最後の2冊です。

「バンド・デシネ 異邦人」は言わずと知れたカミュの「異邦人」をコミック化したものです。「バンド・デシネ」はフランスやベルギーなどフランス語圏の漫画のことですが、日本の漫画とはちょっと雰囲気が違うんですよね。個人的にただ読みたいという不純な理由もあったりしたのですが(苦笑)、あの空気感を言葉で説明するのは難しいかも知れません。

結局、最後の一冊をピックアップすることにしました。それがこちら。

「Manga」(2019年、Nicole Coolidge Rousmaniere、Matsuba Ryoko編 The British Museum)

表紙に「マンガ」とカタカナで書かれているので日本で出版されたものと思われた方もいらっしゃるかも知れませんが、紙面はほぼ英語で書かれています。

そして、目を引くのがなんといっても出版元。

The British Museum。

大英博物館です。

本書は2019年に大英博物館にて日本の漫画を題材にして展覧会が開かれた際に出版された図録なのです!漫画が「第9番目の芸術」と評されるフランスならいざしらず、あの大英博物館で漫画を題材に展覧会が開かれるようになるなんて漫画の地位も随分向上したものです・・・。自分の幼少期には日本でだって漫画は「悪書」でしたからね(遠い目)。

こちらの図録は、その展覧会時に設けられた6つのゾーン分けにならう形で6章立てで構成されており、漫画の読み方・漫画の作り手(漫画家・編集者・出版社)へのインタビュー・漫画界のレジェンド(手塚治虫など)紹介・様々なジャンルの漫画考察(スポーツ漫画や少女漫画など)・漫画のルーツ考察(河鍋暁斎の紹介)・漫画が絡む周辺メディアやエンタメ(コスプレ、コミケ、ゲームやその他メディアミックスなど)について・・・などなど、漫画周辺情報をどっさり詰め込んだ充実した内容となっております。(展覧会全体として50人ほどの漫画家、162作品を取り上げたとのこと。図録には324点の画像が使用されていますが、おそらく展覧会会場にあったすべての作品は掲載されていないと思われます。)

私が読んでいて特に面白いと感じたのは、「この世界の片隅に」などで知られる漫画家、こうの史代さんが書かれている「ギガタウン漫符図譜」による「漫符(まんぷ・漫画内で使用される様々な記号)」の意味を説明した「漫画を読むためのルール」が説明されている部分でした。また、日本の漫画には触れたことのない欧州の訪館者にも漫画を楽しんでもらうために、冒頭にわざわざ「日本の漫画は右上から左下のコマへ進むように読むんだよ」という注意書きもあり、我々日本人は知らず知らずのうちに「漫画の読み方」をガッチリ身につけて生きている=それだけ漫画に囲まれて生活しているということを改めて実感しました。そうか、欧米では確かに左から右に向けて文章読みますよね。漫画でもそれは同じなのか・・・。当たり前のことなのですが、目からウロコです。

※ちなみに、上記「ギガタウン~」のギガは鳥獣戯画の「戯画」にもかかっており、作品が鳥獣戯画へのオマージュにもなっています。こちらの展覧会会場には作品内のウサギ「ミミちゃん」がガイドマスコットとして登場していたようです。図録にも彼女の姿がちらほら。

かわいい。↑ イギリスでウサギといえば、ルイス・キャロルの「不思議の国のアリス」のウサギですよね。図録の裏表紙にはその時計を持ったウサギが描かれています。島国・擬人化ウサギに共通点があるのも面白いなとか思ったり。

 

また、海外に輸出された日本の漫画は、これも当たり前なのですが、植字が現地の言語に翻訳されています。多くの場合は効果音なども翻訳されているため原作の趣とは微妙に異なることもあるのですが、こちらの図録内で掲載されている原稿には手が加えられておらず、その代わりに余白にセリフの翻訳が掲載されています。また、コマも追いやすいように番号の振られたコマ割りを余白に載せるなど、原作を漫画に馴染みのない方にも理解させる努力をすると共にオリジナルへのリスペクトを忘れない作りになっており、編集者の誠意を感じる点も素敵です。

そういえば、こちらの表紙のキャラクター。ご存知の方も多いと思いますが、野田サトル作「ゴールデンカムイ」に登場するアイヌの少女、アシリパさんです。今や日本の代表的な輸出品「Manga」の顔が少数民族アイヌの少女というチョイスもなかなかに意味深なところがありますね。図録内ではアイヌの木工芸術家・貝沢徹さんのインタビューも載せるなど、日本の文化の多様性にもスポットを当てています。

・・・河鍋暁斎のことなども触れたかったのですが、長くなりすぎるので今回はこの辺で終わりにします。そうそう、この図録、カバーを外しても楽しめるんですよ!(←終わらせられない)

気になる方は是非お手にとってみてくださいね。

 

今回も良書をたくさんお譲りいただき、ありがとうございました!

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