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2022/02/25

社会学、思想、音楽関連書籍の買取 「サウンドの力―若者・余暇・ロックの政治学」1991年、晶文社

今回は社会学や思想、音楽や哲学に関連する書籍の買取をいたしました。以下に特に良い査定額をお付けできたもの紹介いたします。

「救済の星」
「サウンドの力―若者・余暇・ロックの政治学」
「認知言語学〈2〉カテゴリー化 (シリーズ言語科学)」
「普遍音楽 (普遍音樂)—-調和と不調和の大いなる術」
「Linguistic Categorization: Prototypes in Linguistic Theory」
「個人化社会 (ソシオロジー選書)」
「構造人類学」
「リキッド・モダニティ―液状化する社会」
「エスノメソドロジー―社会学的思考の解体」
「民族主義・植民地主義と文学 (叢書・ウニベルシタス)」
「知覚の現象学 (叢書・ウニベルシタス)」
「書物の出現〈下〉 (ちくま学芸文庫)」
「書物の出現〈上〉 (ちくま学芸文庫)」

などなど。

「構造人類学」のレヴィ・ストロース、「知覚の現象学」のメルロ・ポンティなどのビッグネーム、「救済の星」のローゼンツヴァイクなど気になる名前もありますね。

こういった教科書的な書籍は発行から時間が経っていても(「構造人類学」は1972年、「知覚の現象学」は1982年の出版です。)高額査定となることの多い書籍です。それは哲学の分野だけでなく、様々な書籍についても言えますので、もしご不要な名著・大著をお持ちの方は是非、当店にお譲りください。

さて、そんな名著を差し置いて今回選んだ本はこちら。

「サウンドの力―若者・余暇・ロックの政治学」(1991年、サイモン・フリス著、晶文社)

です。

原著のタイトルは「Sound Effect , Youth, Leisure and the politics of Rock’n Roll」でイギリスでは1983年に出版されています。実はこちらの本には著者自身の手による元ネタ、1978年に出版された「Sociology of Rock(ロックの社会学)」がありまして、今回の本はその改訂版となります。著者曰く、1970年代には「毎年40億ドルを超える額が世界中で音楽生産物に費やされて」おり、しかし、その音楽のいち形態であるロックはアカデミックに論じられることがあまりなかった。その市場の大きさからも1つのマスメディア、大衆(マス)音楽として無視することのできいない存在であるロックを「正当」に扱うことに決めたというのが、本書において著者が執心した点です。

さて、その著者ですが、社会学者であり音楽誌に評論を寄稿する音楽ライターでもあるサイモン・フリスという人物です。ギター、ベース、ヴァイオリン奏者でもあるマルチプレイ・ミュージシャンのフレッド・フリスのお兄さんです。本書邦訳版が出版される1年前の1990年、この弟フレッドが主演するドキュメンタリー映画『ステップ・アクロス・ザ・ボーダー』(Step Across the Border)(彼が世界を巡り、人種や国籍を超えて様々なミュージシャンと交流する様子を描いた作品。同名のサントラも発売されました。)が発表されたことも本邦訳版が発売されたことに関係しているのではないかな、と予測してみたりしています。

さて、本書の前身である「ロックの社会学」ではっきりと示されている通り、こちらの本はロックを通した社会学的考察をする本です。よって、具体的なミュージシャンのディスコグラフィーや、それらについての評論を内容に期待すると拍子抜けすることでしょう。もちろん、分かりやすい例として、いつくかのミュージシャンへの言及もありますが、それはあくまでサラっと触れる程度。

また、恐らく音楽好きの諸氏はロックの歌詞の分析を読みたがっているのではないかと推測しますが、本書ではロックの楽曲1つから敷衍したものの見方をするのではなくて、ロックのもつ社社会学的な意味を論考しています。

そして、事前情報として忘れてはならないのが、サイモン・フリスがあくまでイギリスのロック(ポップ音楽の一形態として派生したものとしての)について論じている点です。フリス氏が分析対象とする”ロック”はアメリカン・ロック、ましてや日本のロックとは様相をかなり異にしています。それは、フォークや黒人音楽がロックのルーツとして挙げられている点(第1章)からもある程度予測が付くことではありますが・・・。それと付随して、こちらの本のサブタイトルとなっている「若者・余暇」についてもイギリスの若者文化と余暇がベースとなった論述となっておりますので、ご注意くださいね。

この本を読んでいて改めて思ったのは、ロックという音楽が、ある共同体の絆を表象するような、ある程度メッセージ性を備えた身近な音楽であるという点と、それがレコードにされて広まっていく過程では商業的な機構とは切り離せないものであるという矛盾をはらんだものであるということです。ロックの比較対象としてポップが登場していますが、ポップは製作の段階で商業的な成功を前提にされているという点で異なる、と。カッコイイ!と思って聴いていたものが大衆間で繰り返し消費されることによってダサいものに変わっていくというのはトレンドの常ですが、それを共同体からの分離→大衆化・大衆同化の過程と重ねてみると、なんだか新鮮さを感じました。

また、ロックに「芸術性」や「メッセージ性」が付与されていった過程を、社会の中での摩耗に耐えうるようにする目的として読むと、音楽評論の流れ(メイン・ストリーム)がストンと理解できた気がします。

本書では、中盤をロックの制作過程(ミュージシャンの曲作りからレコード録音、社会に売り出されるまで)に頁を割いていますが、後半に入り若者の余暇の過ごし方(第8章)、階層の違いと余暇の違い(9章)、ロックとのジェンダーの関係(第10章)など、より社会学的分析の濃い内容が綴られています。そのそれぞれにおいて、ある程度の答えめいたものが提示されていますので(ジェンダーの部分については、訳者あとがきにあるようにやや消化不良の感もありますが)、是非最後まで楽しみつつお読みください。

 

ロック的な音楽からは少々遠ざかっていた昨今ですが、久しぶりにピンク・フロイドなどが聴きたくなった スタッフN でした。

 

今回も良書をたくさんお譲りいただき、ありがとうございました!

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