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2023/01/06

芸術関係・自己啓発・写真集・詩集・スピリチュアル【39冊10,500円】「右脳の冒険―内宇宙への道」1984年 平河出版社

今回は芸術関係、自己啓発、写真集、詩集、スピリチュアルなどの書籍の買取をさせていただきました。以下に特に良い査定額をおつけできたものをご紹介いたします。

「完全版 自給自足の本」
「ビニールの城」
「ビー・ヒア・ナウ―心の扉をひらく本 (mind books)」
「好き? 好き? 大好き?―対話と詩のあそび」
「結ぼれ」
「夢見の技法―超意識への飛翔」
「呪術師と私―ドン・ファンの教え」
「タブーの書」

などなど。

1900年代後半の出版が中心となっていて、新品在庫のない、まさに「古本」の買取をご紹介してみようかと思います。

 今回の買取で特に目に留まったのは、スピリチュアル的な書籍でしょうか。この分野の買取は、お伝えできる評価基準がわかりにくい分野と言えますが、個人的に興味のある分野だったので取り上げてみました。

 

その中でも特に気になった一冊をあえて挙げるとすれば、カルロス・カスタネダ氏の呪術系の書籍でしょうか。人物の経歴等についての紹介は、長くなるので割愛させていただきますが、少しだけ検索したものをお伝えすると「アメリカ合衆国を中心として世界に広がったカウンターカルチャー全般、とりわけスピリチュアリズム、ニューエイジ運動などに影響を与えた」人物とあります。その分野では有名な方のようですね。ご興味のある方は、ぜひ検索してみてください。

 

カルロス氏の書籍は、作家のよしもとばなな氏、音楽家細野晴臣氏、漫画家藤原カムイ氏、「ワイズマン」の著者外薗昌也氏、元格闘家須藤元気氏など多くの著名人が愛読されているようです。オカルト分野、興味のある方は多いのではないでしょうか?私のもそのうちの一人ですが、マニアックな中でもきらりと光る書籍という印象を持ちました。

 

スピリチュアル分野の書籍、たくさん持っていてもう読まないから買い取って欲しいけど、この本の評価はどうなのだろう?など気になる書籍などございましたら、見積もりも行っておりますので是非ご活用ください。

 

今回ご紹介するのはこちら

 「右脳の冒険―内宇宙への道」コリン・ウィルソン 1984年 平河出版社

です。

 

この流れで行くと、カルロス氏の書籍の紹介となりそうですが、他に興味のある右脳の書籍を発見したため、こちらの本を読んでみました。

 

本書は、1931年イギリス生まれの小説家、コリン・ウィルソン氏によって書かれています。同氏の著書「フランケンシュタインの城」(こちらは右脳左脳の問題を扱っています)の姉妹編であり、本書は実践編といったものとなります。氏は16歳の時から、様々な職業に就く一方、独学で学び1956年「アウトサイダー」で小説家としてデビューしています。人間の意識の可能性を追求しながら、数々の著書を出版しています。「右脳の冒険」という題名から脳科学の研究者かな、などと想像していましたが、科学的な話ではありませんのでご注意ください。

 

本書の、特徴の一つとして特記すべきは、独特な文体、情報量の多さがあげられるのではないでしょうか?例えばニーチェ、ゲーテ、トルストイ、プルースト、カミュ、ドストエフスキー、ユング、フッサール、ド・クインシなどの哲学者、小説家、詩人、心理学者、画家などが登場していて、沢山の文学作品の引用文や、思想などに対する評論、洞察がされています。更には大脳生理学的解釈もされています。その中に後述するブラッド氏の体験、ウィルソン氏の体験が放り込まれている感じでしょうか。独特な文体、情報量の多さは本書の魅力でもありますが、個人的にはやや読みにくい印象を持ちました。これらの文学作品に精通されている方なら、さらに面白く読めるのではないでしょうか。

 

さて、本書では「二千年以上哲学者たちは、人間存在というものに陰鬱で否定的な評価を下してきた」とありますが、その根本的原因を人間の左脳と右脳の働きの違いに求めています。すなわち、(本書によれば)左半球、左脳は言語と理論を、右半球、右脳は感情直観をつかさどるそうです。人類にはその誕生以来、戦争などの生存競争を勝ち抜くため左脳を中心とした思考が必要であった経緯があり、未だに左脳意識による過度の用心があるため左脳中心となったままだそうです。その結果が、「人間存在というものに陰鬱で否定的な評価を下す」ことにつながり、はてはこの現実の捉えようが自殺、戦争などにつながっていくそうです。左脳自我にオプティミズム(楽観主義)と自信、すべてよしという信念を植え付けると右脳は応えてくれるというようなことも書かれています。

 

ウィルソン氏はたいていの人は、左脳の中で過ごしていて、現実そのものを間違えていると言っています。知る必要があるのは左脳意識を超えるにはどうしたらよいかということですが、そのきっかけとなるのが、ブラッド氏の体験です。

 

本書では全編にわたりウィルソン氏が講師としてフィンランドで行われるゼミナールに行った際に出会ったブラッド・アブセッツという男性が、いかにして右脳の能力を開花させていったかという方法論のきっかけが書かれています。「方法論のきっかけ」と、ややこしい言い回しをしましたが、ブラッド氏の右脳が発展途中であり、まだまだ未知であるためこのような表現にしてみました。

 

ブラッド氏の右脳の才能開花には様々な人生経験がベースとなっていますが、最終的に養子の死による妻の気鬱症の看病のため、長年に及ぶ心痛と疲労の結果、右脳が開花し様々な能力が高まっていく過程が本書では描かれています。何らかのインパルス(衝動)に駆られ、手や腕が自分の意思とは関係なく動き出し、意識して行った場合よりもはるかに素晴らしい、また、ブラッド氏本人すら出来上がりの見当がつかない詩作や絵画、彫刻などの仕事ができるようになっていきます。右脳がブラッド氏の手を動かす主導権を握り、批判精神(左脳)からの妨害を全く受けずに、右脳それ自体の考えを表現することに成功しています。このような無意識の中で右脳自我が自己を主張することにより、一連の自動発生的な動作となっていきます。

 

これは、左脳を究極に追い込むと活動が低下し、右脳が働きだすというようなことなのかなととらえました。

 

しかしながら、それでは右脳のみを使って人は生きれば良いのでしょうか?ウィルソンは「右脳が左脳への供給を怠れば、人生は単なる機械的なマンネリズムであり、人間は真の意味で人間足りえない」と言っています。つまり、それは左脳右脳をバランスよく使うことによって、左脳意識の中に閉じこもり追い詰められることなく、自分を客観視できてより豊かに暮らせるというようなことかと思います。

 

こちらのブラッド氏も最終的には緊張していながらくつろぎ、くつろいでいながら集中するということを体得されたそうです。これがコツのようですが、なかなか難しそうですね。

 

 現代では、脳科学の研究も進んでいて、少し古いのかな、と思わなくもないですが、個人的には右脳の役割、左脳の役割が腑に落ちることも多く、実体験としての部分はわかりやすかったかなと思いました。文学史を交えながら知能の発達の歴史なども書かれているのですが、興味深く面白かったです。

地球の歴史で見ると、人類が文明を獲得してから日が浅いですが、進化の過程を考えると、そのうち右脳を自在に操れる人類というものが存在しているかもしれませんね。そんなロマンを感じさせてくれる1冊でした。

今回も良書をたくさんお譲りいただき、ありがとうございました。

 

スタッフT

 

 

 

 

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