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2021/05/28

工学・テクノロジー系書籍の買取 「白と黒のとびら: オートマトンと形式言語をめぐる冒険」

今回はプログラミングなどIT、工学に関する書籍を中心に買取をさせていただきました。その中でも特に良い査定額をおつけできたものを以下に紹介させていただきます。

「12ステップで作る組込みOS自作入門」
「SLAM入門: ロボットの自己位置推定と地図構築の技術」
「起動プログラム ブート・ローダ入門─クロックの初期化や外部メモリの設定からOSの起動まで TECH I シリーズ (TECH Iシリーズ)」
「ARMでOS超入門 (ARMマイコン)」
「CPUの創りかた」
「ROSロボットプログラミングバイブル」
「ARM Cortex-A9×2! ZynqでワンチップLinux on FPGA (*ボードは付属していません) (Design Wave)」
「はじめてのOSコードリーディング ~UNIX V6で学ぶカーネルのしくみ (Software Design plus)」
「ROSではじめるロボットプログラミング―フリーのロボット用「フレームワーク」 (I・O BOOKS)」
「バリュー投資アイデアマニュアル ──得意分野を見極めるための戦略の宝庫 (ウィザードブックシリーズ)」
「計測のためのアナログ回路設計―OPアンプの実践回路から微小信号の扱いまで (C&E TUTORIAL)」
「サポートベクトルマシン (機械学習プロフェッショナルシリーズ)」
「白と黒のとびら: オートマトンと形式言語をめぐる冒険」
「電子戦の技術 基礎編」
「電気技術者のための失敗100選」
「音響工学講座 (8) 超音波」
「農業のマーケティング教科書 食と農のおいしいつなぎかた」
「絶対にギブアップしたくない人のための 成功する農業」

などなど。

ゴリゴリの文系出身の筆者、プログラミングやら、エンジニアリングやら、回路設計やらという言葉を聞いただけで苦手意識全開なのですが、この中に妙に気になった本が一冊ありまして、それを今回の一冊にしました。

「白と黒のとびら: オートマトンと形式言語をめぐる冒険」(2013年初版、東京大学出版会)

です。

オートマトン…どこかしら、カラクリ人形の「オートマタ」を彷彿とさせる語感に”言語”や”冒険”なんてあるので、うっかり「命を吹き込まれた人形の異国ファンタジーなのかしら?」なんて思っていたら、こちらもれっきとした情報科学系読み物なのです。なのですが、わたしの想像も当たらずとも遠からず、ファンタジー物語調で書かれた形式言語の本なのですよ、と言ったら意外じゃありませんか?

物語の主人公はガレットという少年です。魔術師の弟子ですが肝心の魔法をなかなか教えてもらえません。やらされることといったら炊事・洗濯・掃除などの雑用の他に、意味を成さない不思議な古代語ばかり。弟子としての先行きに不安を覚えるガレット少年ですが、そんな日々の中で妖精が作ったといわれる遺跡に関わることになります。その遺跡の部屋には白と黒の扉があり、正しい順番で開く扉を選ばないと大変な目に遭います。そして、その白と黒の扉の順番は先述の古代語を表すことがわかり・・・?!

 

と、このようなあらすじです。

通常のファンタジーや謎解きとはちょっと趣が異なる部分もありますが、少なくとも途中まではあまり頭を使わなくてもスラスラと内容が入ってきますし、ガレット少年の焦燥感や、ささやかながら恋心の描写などもあって読み物としても面白いです。

しかし、本書を単なるファンタジー読み物から区別せしめているのは、やはりガレット少年が遭遇する謎の遺跡からの脱出行に本書を通して随行するだけで、読者はこの言語の謎、すなわち、情報科学分野の基礎となる、とある需要な基礎理論のエッセンスを習得できる点でしょう。確かに、一通り本編を読み終わったところで巻末の解説を読んでみると、「ああ、あの章の狙いはこういうことだったのか」と腑に落ちる感じが爽快です。

オートマトンとは「抽象的な計算機械のモデル」だと筆者は解説で述べていますが、その種類とそれぞれに対応した形式言語のクラスと文法から、

・計算機械にできること、できないこと→人間の脳も計算機械とみなした場合に私達の言語能力をどのように説明することができるのか?

といった問題設定への流れは特に目からウロコでした。

こちらの本の物語では最終的にいかなる無限性を持つオートマトンによっても表現できない言語を主題(対角線言語と決定不能性)に扱っていますが、この辺りを物語の落とし所に持ってくるのも、ありがちといえばアレですが粋ですよね。

・・・と、読んでいない方にとっては、あらすじの説明から一気に飛躍しすぎて「???」かと思いますが、この一種「アハ体験」とでもいう感覚を是非味わっていただきたいです。

 

本書を読む前は”計算”という分野と”言語”の両者が結びつくことに意外性を感じていた筆者ですが、オートマトン理論と人間の言語を結びつけて考えたノーム・チョムスキーの言語学など、今回頭に入った概念を下敷きにちゃんと読んでみたいなと思った読後でした。

今回も良書をたくさんお譲りいただき、ありがとうございました!

 

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